低濃度笑気麻酔(笑気吸入鎮静法)とは
笑気麻酔とは、手術前に特注マスクを設置して、亜酸化窒素と医療用酸素の混合気体を吸入することで、痛みを感じづらくリラックスした状態で手術を受けることができる麻酔方法です。
例えば、眼科の白内障手術では、通常は点眼麻酔のみを使用して手術を行っております。ただ、短時間の手術といっても患者さんの恐怖感や不安感が強く、「手術が怖い」ので受けたくないと考える方もいらっしゃいます。
当院では、必要な手術をより負担が少なく受けていただけるように低濃度笑気麻酔(笑気吸入鎮静法)にも対応しております。「手術が怖い」「手術中が不安だ」という方には笑気麻酔を併用した手術をご案内しております。
笑気麻酔(笑気吸入鎮静法)の特徴
1.リラックス効果が得られる
笑気麻酔には、軽度の鎮静・鎮痛作用・睡眠作用があります。眠りに落ちてしまうほどの強い麻酔ではなく、ぼんやりと心地よい気持ちになる感覚です。
2.笑気麻酔は予期せぬ眼球運動も抑制できます
「手術のときに、目をあけてじっとしとかないといけないなんて無理だ!」
「先生に目をじっとして!と言われるけど、手術中に目が急に動いてしまったらどうしよう?不安だ!」という方でも、笑気麻酔なら目の思わぬ動きを抑えられるので、手術が安全になります。
3.手術後に体に麻酔が残らない
笑気麻酔を使用して手術した後は、吸入した混合気体は体には残らず、数分で元の状態に戻ります。
4.副作用の心配がない
もともと歯科治療にも使われていた麻酔方法で、副作用がほとんどありません。極稀に、手術後に吐き気や下肢の脱力感などの症状がある場合があります。
笑気麻酔(笑気吸入鎮静法)の使用について
適応できる方
・手術に恐怖感、不安感がある方
・痛みを感じやすい方
・緊張やまぶしさで目を閉じてしまう方
・閉所恐怖症の方
適応できない方
・耳鼻科で中耳炎の治療を受けている方
・妊娠中の方
・過呼吸発作を起こしやすい方
・その他、診察で医師が使用できないと判断した方
笑気麻酔(笑気吸入鎮静法)を使用した白内障手術の流れ
STEP1:麻酔装置の装着
手術台に横になって、鼻に笑気麻酔専用の特注マスク(※新見眼科の新見先生に教えて頂きました)を装着して吸入する準備を行います。
STEP2:笑気麻酔を開始
吸入装置から出てくる混合気体(笑気ガス)をゆっくりと鼻から吸引してください。笑気麻酔は意識がなくなるわけではなく、ぼんやりと心地よい気持ちになります。眠ってしまうことはありません。
STEP3:麻酔が効いていたら手術を始めます
吸引から5分程度経過するとリラックスした感覚になります。そのまま吸引を継続しながら手術を進めてまいります。笑気麻酔では、患者さんは意識がありますので呼びかけながら反応みて手術を進めていきます。
STEP4:手術後、覚醒を待ちます
手術後は、吸入を止めて覚醒するまで安静にしていただきます。
個人差はありますが、数分で覚醒いたします。
STEP5:帰宅
麻酔によるふらつき等がないことが確認できましたら、術後の説明をお聞きいただき、そのままご帰宅していただけます。
笑気麻酔(笑気吸入鎮静法)の費用について
当院では特別な費用はいただいていません。
よくある質問
白内障手術を受ける際は必ず笑気麻酔は必要ですか?
笑気麻酔の使用は必須ではありません。手術に対する恐怖感や不安感が強く心配な方にご案内しています。手術が不安な方はお気軽にご相談ください。
笑気麻酔は安全ですか?
歯科治療などでも日常的に使われている安全性の高い麻酔です。笑気麻酔は、効果も早く、使用後に麻酔が抜けるのも早いので体内の臓器に影響を及ぼすことはありません。子どもやお身体が弱い方、吐き気が強い方でも使用可能です。
笑気麻酔を使用するとどのようになりますか?
全身麻酔ではありませんので意識があり、眠ってしまうこともありません。
また、とてもリラックスした状態になり、頭がボーッとした状態になります。手術中、医師から呼びかけられた場合は、応答していただけます。
妊娠中でも笑気麻酔は使用可能ですか?
妊娠中は笑気麻酔を使用できません。また、その他の病気で使用できない場合がありますので、笑気麻酔をご希望の方は、必ず医師に治療中の疾患などについて報告するようにしてください。
どうして笑気麻酔というのですか?
笑気麻酔は正式には、亜酸化窒素と酸素の混合気体です。笑気麻酔を使用した方が、リラックスして笑顔のような表情になることから「笑気麻酔」と言われるようになったそうです。
笑気麻酔をしても入院は不要ですか?
入院は不要です。笑気麻酔はすぐに効果が表れ手術後は速やかに体から排出されていきます。笑気麻酔を使用しても手術後に数分横になると歩けるようになりますので、そのままご帰宅していただけます。