緑内障の検査について
1.問診
緑内障の診断と今後の管理方針を決定するために、眼の外傷・炎症・手術歴・感染症について確認し、全身疾患や薬物治療に関する治療歴についてもお聞きします。
また、自覚症状についてもお聞きします。
目がかすむ、電灯に虹のような光が見える、眼の痛み、充血、頭痛、吐き気などがある場合は、急性緑内障発作の可能性があります。
眼痛
急性緑内障発作の場合、急激な眼圧上昇のため強い眼の痛みがあります。その他にも眼痛は、角膜上皮障害、ぶどう膜炎による毛様体の炎症などでも起こります。
頭痛
急性緑内障発作の場合は、急激な眼圧上昇のために、吐き気・嘔吐(おうと)を伴った頭痛があり、その他には、視力低下、羞明(しゅうめい:強い光に不快感を感じる、眼の痛みがある)、虹視症(こうししょう:電灯の周りに虹がかかったように見える)なども症状として現れます。
霧視(むし)
急激な眼圧上昇に伴って角膜浮腫やぶどう膜炎が原因となる続発緑内障では、霧視(むし)が症状として現れます。
視野欠損
緑内障の初期~中期段階では、ほとんど視野異常(視野欠損)の自覚症状はありません。患者さんが視野欠損を自覚している場合、緑内障がかなり進行していると考えられます。
充血
眼の充血が見られる場合、急性緑内障発作、ぶどう膜炎による緑内障、血管新生緑内障など続発緑内障の症状として現れます。
2.細隙灯顕微鏡検査
細隙灯顕微鏡検査はでは、角結膜、前房、虹彩、水晶体などを観察します。
また、補助レンズを使用し、隅角や眼底を観察することもできます。
角結膜
・角膜浮腫が見られる場合
急性緑内障発作、角膜内皮障害による続発緑内障の可能性があります。
・角膜後沈着物が見られる場合
ぶどう膜炎による緑内障が考えられます。
・角膜後面に色素沈着が見られる場合
色素緑内障が考えられます。
前房
細隙灯顕微鏡検査で前房深度を観察します。角膜厚と周辺部前房深度を比較することで、隅角の広さを推定することができます。プラトー虹彩緑内障の場合は、前房深度がほとんど正常値であっても隅角閉塞があるため、その場合は、隅角鏡検査が必要になります。
虹彩
虹彩を観察することで、、瞳孔ブロック、隅角・線維柱帯との癒着、水晶体との後癒着、虹彩の血管新生、虹彩萎縮、虹彩結節などがないか調べます。
水晶体
水晶体を観察することで、水晶体の大きさ・形状の異常がないか、水晶体の位置異常(水晶体脱臼)がないか、水晶体に白い付着物がないか、水晶体物質が流失していないか確認します。
偶角鏡検査
隅角検査では、線維柱帯、毛様体、強膜岬、シュワルベ線など隅角を構成している各部位を正確に観察します。糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症などでは、隅角に新生血管が見られることがあります。隅角鏡検査には、静的隅角鏡検査と動的隅角鏡検査(圧迫隅角鏡検査含む)を行う必要があります。
当院の隅角検査は、隅角鏡の変わりにCASIA(前眼部OCT)を使用しますので目にレンズを装用していただく必要がなく患者さんの負担が少なく検査が可能です。
CASIAによる隅角検査
隅角鏡の代用で行う前眼部OCT検査です。下記に記載のUBMで行う断層撮影よりも簡単に早く行う事ができます。ただ、毛様溝の観察などより深部の観察ができません。
UBM(超音波生体顕微鏡)
当院では、超音波を使ってより詳しく隅角の形状を観察します。
隅角鏡では観察が難しい、虹彩裏面、毛様体・毛様溝の精密な形態観察が可能で、閉塞偶角緑内障の診断には必要不可欠です。また、濾過手術による房水流出路の詳細を観察することができます。
UBM(超音波生体顕微鏡)を使用して検査することで、より正確な診断ができ、適切な治療方法を決定することができます。
眼底検査
眼底検査では、視神経乳頭と網膜神経線維層を観察します。特に正常眼圧緑内障の場合は、眼底検査の結果、視神経の障害が発見されることも少ないありません。
眼底検査による視神経観察には、①検眼鏡、②補助レンズを用いた細隙灯顕微鏡、③眼底写真撮影、④レッドフリー眼底観察、⑤眼底三次元画像解析があります。この5つの眼底観察法を適宜行い、視神経乳頭と網膜神経線維層に緑内障による障害が生じていないか判定します。
血管眼底造影
血管眼底造影は、緑内障以外の疾患でないかどうか判断するために実施します。
視野検査で緑内障と診断されていた患者さんが、血管眼底造影画像を摂ってみると網膜に血管のつまりがあり、緑内障ではないと発覚する場合もあります。
【診断例】
-
●視野検査では、視野の欠損が診られ緑内障が疑われます。
●眼底検査では網膜神経線維層欠損(NFLD)が見られますが、静脈の白線化などの明らかな血管異常はありません。
●血管眼底造影画像では、血管の詰まりが原因だったことがわかり、緑内障ではないと診断できます。
光干渉断層計(OCT)
トリガーフィッシュシステム
トリガーフィッシュシステムは、眼圧の変化によって生じる角膜曲率の変動を測定することで、眼圧変動におけるピークパターンを24時間にわたってデータを計測ことができます。
※角膜曲率の変動を5分ごとに30秒間自動で計測します。
測定の仕組み
コンタクトレンズ型のセンサーを目に装用し、眼圧の変化によって生じる角膜曲率の変動を電気信号に変換するセンサーが搭載されており、目の周りに装着するアンテナが、センサーからの情報を受診します。計測されたデータは、ケーブルを通してレコーダーに送信され、データが保存されます。計測終了後は、計測データを専用ソフトウェアに送信します。
トリガーフィッシュシステムの有用性
- 患者さんの負担が少なく、低侵襲で24時間眼圧変動測定ができる
- 日常生活環境下における24時間の眼圧変動測定ができる
- 睡眠中の眼圧変動測定ができる
- 眼圧変動結果を数値として確認できる
診察時間帯の眼圧測定数値が良好にもかかわらず緑内障の進行が診られる症例に対して、有効な検査となります。
24時間眼圧計
icare HOME
眼圧測定を患者さんご自身で行っていただける眼圧計です。日常生活の眼圧測定が可能で、患者さんのケアを行うための必要なデータ記録・管理が容易にできます。
手持ち眼圧計
icare TONOMETER
接触式の眼圧計ですが、点眼麻酔の必要もなく、測定時間が短いのでお子様の検査時などに活用いたします。