当院で導入しているレーザー機器について記載いたします。
YAGレーザー:Tango(ELLEX)
Tango(ELLEX)は、SLT(緑内障:繊維柱帯形成術)とYAGレーザー(後発白内障・緑内障:虹彩切開術など)の2つのレーザー機能をもったレーザー機械です。
・SLT機能:
繊維柱帯の有色素細胞のみを選択的に傷害して基本構造に影響を与えることなく治療が行える(低エネルギー・低侵襲)ので、繰り返し治療が可能で、手術治療に影響を与えません。
・YAG機能:
少ない照射数と低累積エネルギーで効果的に組織切開を行うので、後発白内障のレーザー治療時に眼内レンズに点状の傷が生じるリスクを激減させます。
マルチカラースキャンレーザ光凝固装置 MC-500 Vixi™(二デック)
マルチカラースキャンレーザーは、緑内障のレーザー虹彩切開術(LI)で虹彩を焼き固める際に使用したり、隅角形成術(LGP)で虹彩を収縮させる際に使用するレーザーです。網膜光凝固術の治療も可能です。
特徴
- 多彩なスキャンパターン
- モジュール式レーザ、多種類のデリバリユニットとの豊富な組み合わせに対応
- デュアルデリバリ対応で双眼倒像鏡及びエンドフォトデリバリの選択が可能
- 黄色レーザにYellow 577nmを採用。最大出力はハイパワー1500mW
- スポットサイズ設定を大きくしても角膜上のパワー密度を上昇させないSOLIC機能を採用
- 低消費電力(100V電源)と優れた安全性、耐久性を実現
機能・性能
スキャンパターンが22種類あり、網膜の状態に合わせたパターンが選択できます。
Navilas® 577+
Navilasレーザーは、従来の機器よりも正確な治療計画と患者さんの負担を軽減することができる網膜光凝固術を行う最新レーザー機器です。
特徴としては、
- 1.眼底カメラとレーザーが一体となった、世界で初めてのナビゲーションレーザーシステムです。あらかじめ撮影した眼底画像をもとに、レーザーをナビゲートします。
- 2.カラー眼底画像や蛍光眼底造影画像を撮影できます。カラー眼底画像だけでなく、蛍光眼底造影画像を元にレーザーをナビゲートすることができます。
- 3.OCT画像など、他の機種で撮影した眼底画像を取り込み、それをもとにレーザーをナビゲートすることもできます。
- 4.事前の治療計画では、それらの眼底画像を撮影したカラー眼底画像にオーバーレイ(重ね合わせ)し、病変部にレーザー予定部位をマークします。
- 5.事前の治療計画と優れたアイトラッキング機能によってレーザー照射を行うので、高精度かつ安全性に優れた治療が可能です。
- 6.従来のレーザー機器よりも迅速かつ効果的な治療が可能です。
【Navilas® 577+の機能について】
局所光凝固術
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デジタル眼底画像
高解像度のカラー眼底画像はNavilas®のボタン操作で取得できます。 -
ターゲットアシストレーザー
事前にプランニングされた治療計画は眼底画像にオーバーレイされ、エイミングビームを治療箇所に配置します。 -
デジタル治療計画
外部診断画像のオートインポート機能により、治療箇所に対する正確な位置付けに基づいた治療が可能となります。
汎網膜光凝固術
汎網膜光凝固術とは、網膜を広範囲に光凝固術することです。通常は、網膜を一度に広範囲凝固すると刺激が強いために数回に分けて光凝固術を行いますが、Navilasレーザーでは、1度のレーザー照射でも刺激が少なく、短時間で治療を実施することができるので痛みが少なく、患者さんの通院負担が軽減します。
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広角視野による光凝固術
Navilas®のワイドフィールドオプティックスは、従来のスリットランプを用いた装置とは別次元の広角な視野を提供するため、 治療部位を容易に確認し治療することが可能です。 -
高速パターン光凝固術
最大25個のスポットを有するパターンをタッチスクリーンまたはジョイス ティックを用いて凝固箇所に直接位置づけし、迅速に照射することができます。またエイミングビームは自動的に次の照射位置を示します。 -
デジタル治療計画
外部診断画像のオートインポート機能により、治療箇所に対する正確な位置付けに基づいた治療が可能となります。
閾値下(いきちか)光凝固術
閾値とは、治療を行うために必要な最小限の強度や刺激などの量という意味で、閾値下光凝固術とは、網膜組織に対して凝固閾値(ぎょうこいきち)に達することなく繰り返し加熱・刺激が可能なレーザー光凝固術で、視機能を維持しつつ瘢痕を回避する事ができる治療となります。
Navilasレーザー治療例
①検査
PLEX Elite 9000で撮影した眼底の血管造影とVISUCAM NM・FAによる蛍光眼底造影写真を撮ります。
毛細血管が確認できない箇所、血管が詰まっている箇所を確認(赤丸参照)
②治療計画を作成・レーザー照射
①の赤丸をもとにレーザー治療計画を作成します。図の黄色いマークは、黄斑部と視神経です。黄斑部の周辺までレーザー光凝固術が可能になった事を見ていただけると思います。
③治療レポート
薄い水色の丸が、
【治療レポートの参考例】
YC-200Splus / YC-200 (NIDEK)
YC-200Splus / YC-200 (NIDEK)はSLTモードとYAGモードのコンビネーション機能を備えたレーザー機器です。
後発白内障や緑内障など、多くの症例に対応した装置です。
SLTモード
選択的に線維柱帯の有色素細胞に作用する治療で、解放隅角緑内障への低侵襲治療を期待できます。
フォーカスが合わせやすいSLT用エイジング
SLTモードのエイミングにパーフォーカル光学系を採用しています。フォーカス時にエイミングのエッジがシャープで合わせやすいため、治療時に照準を合わせやすくなっております。
SLT-NAVI
SLT治療は照射痕が残らない治療です。
どの部位に照射したかわかりにくいため、SLT照射をアシストする機能としてSLT-NAVIを搭載しております。SLT-NAVIに照射範囲、照射開始位置、照射方向を設定することで、治療の進行状況の目安を確認できます。また、照射結果を記録に残すことも可能です。
緑色:照射が完了しているエリア
黄色と橙路の点滅:現在照射しているエリア
橙色:照射予定エリア
コーンアングル5.5度
SLT治療レーザーのコーンアングルを5.5度にしております。
一般的なコーンアングル3度と比較すると、角膜上での光束が太くエネルギー密度が高くなりにくいため、治療レーザー光による角膜への影響を抑制することができます。
YAGモード
YAGモードは、微小なプラズマを発生させることで、各部位(後嚢や虹彩など)の切開を行う治療モードです。
切れの良い新設計
空中プラズマ闘値1.6mJ以下の最適環境下で実現しております。
スーパーガウシアンの光学特性を持つレーザー光源のため、集光性が良く少ないエネルギーで切れの良い照射が可能となっております。
ワイドフォーカスシフト機能
エイミング光に対して治療光のフォーカス位置の移動を1,000μm(後房側500μm~前房側500μm)の広い範囲で設定可能で、様々な症例に対応できます。また、設定単位が25μmと細かく適切な設定が可能です。
360度電動回転・連続回転デュアルエイミング
エイミング方式は、アライメント操作が容易なデュアル・ビーム方式を採用しており、エイミング光を回転させることで、様々な状態の患部組織に対応が可能です。
また、Sスイッチで連続操作(連続30秒間)をさせることで、容易に焦点位置合わせができるようになっております。
CYCLO G6 マイクロパルス P3 プローブ 毛様体光凝固
○毛様体へ熱を与えることにより、 緑内障を治療するレーザー光凝固装置
1.連続波による経強膜毛様体光凝固
2.マイクロパルス波(MP)を使用した低エネルギーな経強膜毛様体光凝固
【期待する治療効果】
緑内障の治療のために眼圧上昇の原因となる房水産生と流出に対して、毛様体にレーザー光凝固を行う事で、房水の産生を抑制させる・房水流出を促す効果を期待して実施する治療です。
※さまざまな病型で眼圧下降効果は得られています、ただし、研究N数が少なく、病型・病期ごとの治療効果の違いについては研究がすすんでいません。
※まずは、低侵襲な治療としてGプローブの代わりにお使いください。Gプローブの適応は、難治性緑内障患者または視野/視力を著しく 悪化している緑内障患者です。