眼瞼の疾患(眼瞼下垂、内反症)

眼瞼下垂(がんけんかすい)とは

眼瞼下垂(がんけんかすい)

眼瞼下垂は、まぶたが重く、目を開けにくくなる病気です。眠そうに見えたり、目つきが悪いと誤解されることがあり、まぶたの重さで目を無理に見開く機会が増え、慢性的な頭痛や肩こり、不眠の原因になる場合もあります。

眼瞼下垂の原因

まぶたを持ち上げる役割を担う眼瞼挙筋(がんけんきょきん)という筋肉の力が弱まることで、目が充分に開かなくなってしまうことが原因となっています。まぶたの周囲をこする癖があったり、コンタクトレンズの長期間使用や、目の手術により発症する場合もあります。

眼瞼下垂の種類

先天性眼瞼下垂

眼瞼挙筋の働きが弱い場合、眼瞼挙筋を働かせる神経に異常がある場合があります。

後天性の眼瞼下垂

まぶたの皮膚のたるみや挙筋腱膜が伸びて瞼板から眼瞼挙筋が離れてしまうことから起こるとされています。

他の病気による発症

顔面神経麻痺や動眼神経麻痺、重症筋無力症など、神経や筋肉の働きが阻害される病気や、骨折などによる眼球陥没、眼球が縮小する病気などによって発症するケースもあります。

眼瞼下垂の日帰り手術

たるんだ皮膚が原因の場合には、皮膚の切除手術を行います。局所麻酔を使用した日帰り手術です。場所は、眉の下かまぶたのどちらかです。眉の下は自然な仕上がりになりますし、まぶたの場合には二重の位置をある程度決められます。ただし、まぶたの切除は、場合によって不自然な印象になってしまう場合もあります。

まぶたの筋肉が緩んでいることが原因になっている場合も局所麻酔の日帰り手術で治療できます。この場合は、二重の部分でまぶたを切開し、緩んだ眼瞼挙筋を瞼板(けんばん)というまぶたの組織に固定します。皮膚が余ってしまうようでしたら、皮膚の切開も行います。

目はちょっとしたバランスで印象が大きく変わってしまう箇所です。できるだけ手術の痕が目立たないように行います。

眼瞼下垂の手術後について

術後異常がないかを確認したうえでご帰宅となります。

ご帰宅後、当日はできるだけクーリングしてください。清潔なタオルを水道水で濡らして絞り、それを目の上に乗せておきます。
手術当日の入浴や洗顔も可能ですが、まぶたを強くこするのは厳禁です。手術後、1週間したら外来で受診して抜糸を行います。アイメイクは抜糸の翌日から可能になります。なお、手術後1週間は激しい運動をしないでください。

眼瞼内反症(逆まつ毛)とは

眼瞼内反症(さかまつ毛)

まぶたが内側を向き、まつげが目に入って眼球に当たり、角膜を刺激する状態です。

内反症の原因と症状

先天性や加齢性の原因がほとんどです。皮下組織の過剰や、皮下筋肉の筋力低下などによって起こります。チクチクした痛みや異物感、まぶしさ、目やになどが代表的な症状です。

内反症の日帰り手術

埋没法、切開法、眼輪筋短縮術など、症状に合わせた手術があります。いずれも日帰り手術が可能で、手術自体の所要時間は15分~30分程度です。

引筋腱膜縫着術

下まぶたを切開してまつ毛を外側へ向かせます。再発率の低い治療法です。

埋没法

糸をまぶたの中に縫いこんでまつげの根元を外側に起こします。

切開法

皮膚と皮下組織を切除し、瞼板に縫い付けます。

眼輪筋短縮術

高齢者の下まぶたに行われる手術です。