選定療養とは
選定療養とは、健康保険適用外の治療を追加費用負担することで、保険適用の治療と合わせて受けることができる制度です。
2020年4月から多焦点眼内レンズを用いた白内障手術が選定療養で実施できることとなり、当院でも3焦点眼内レンズであるパンオプティクス、パンオプティクストーリック、2焦点+EDOFレンズのテクニスシナジーを用いた白内障手術が選定療養を利用して受けていただくことができるようになりました。
白内障手術自体は通常の保険適用の手術で受けていただくことができ、多焦点眼内レンズ(パンオプティクス、パンオプティクストーリック、テクニスシナジー)を選択することでかかるレンズの費用の差額のみを自費で追加負担いただくことで手術を受けていただくことができます。従来であれば、全額自己負担であった多焦点眼内レンズを用いた白内障手術費用の負担を軽減できる制度となります。
単焦点眼内レンズと選定療養レンズの比較
単焦点眼内レンズ (保険適用) |
クラレオンパンオプティクス (選定療養) |
テクニスシナジー (選定療養) |
|
---|---|---|---|
外観イメージ | |||
焦点数 | 1点 | 3点 | 2点 EDOF(遠方から中間) |
近くの焦点距離 (どれか1つを選択) |
近方or遠方 どちらか一方 |
近方 中間 遠方 |
遠方~中間 やや近方 |
乱視矯正 | 可 | 可 |
可 |
費用 | 保険適用 | 選定療養(税込) 乱視なし:250,000円 乱視あり:300,000円 |
選定療養(税込) 乱視なし:250,000円 乱視あり:300,000円 |
保険適用で実施する白内障手術(単焦点眼内レンズ)では、焦点距離(ピントが合う)のは1点なので、患者さんの生活様式をお聞きし、近方もしくは遠方のどちらかを選択します。 選定療養の多焦点眼内レンズでは、眼の状態や生活様式をお聞きし、医師が適切だと判断した場合に「遠方」「中間」「近方」に焦点を合わせることができるパンオプティクス・テクニスシナジーをご提案いたします。クラレオンパンオプティクス・テクニスシナジーを選択した場合は、手術後に眼鏡をかけて生活するわずらわしさを軽減できます。
・単焦点眼内レンズ詳しくは >
・パンオプティクス詳しくは >
・テクニスシナジー詳しくは >
選定療養の多焦点眼内レンズの注意点
特性をご理解いただける方
多焦点眼内レンズは眼鏡をかけない暮らしが期待できますが、一方でその特性に伴うデメリットもあります。特性や医師の説明をよくご理解いただけない場合には、手術を受けられない可能性もあります。
手術後の見え方について
多焦点眼内レンズは近方と遠方に光を振りわけます。そのため、薄暗い場所で見え方が少しぼんやりする傾向を持っています。 手術後、慣れるまでにある程度の時間がかかる場合があります。
多焦点眼内レンズの手術を受けた方のアンケートでは、90%以上の方が術後の日常生活で眼鏡が必要なくなったお答えいただいています。ただし、見え方は個人差がとても大きく、また満足度もそれぞれ異なります。そして、多焦点眼内レンズの手術を受けた場合でも、眼鏡が必要になるケースがないわけではありません。特に細かい文字を扱ったり、精度の高い手作業のお仕事、長時間パソコンなどの画面を見るお仕事などをされている場合には、眼鏡が必要になるケースが多くなります。
眼鏡の装用について
多焦点レンズを使用すれば、日常生活でほぼ眼鏡がいらなくなりますが、まったく眼鏡がいらなくなるということではありません。日経新聞の株式欄のような特に小さい字を見るときは、眼鏡をかけたほうがよく見えます。
10人中9人が、普段の生活で眼鏡を使わなくなったとおっしゃっています。
グレア・ハローについて
多焦点レンズの性質上、夜に光るものはにじんで見えます(グレア、ハロー)。たとえば、お月さんや車のヘッドライトのまわりに少しひかりの輪が見えます。
暗い場所での見え方
多焦点レンズは常に光を遠くと近くに割り振っていますので、すべての光が利用できるわけではありません。そのため暗いと光の量が足らず見にくかったり、はっきり感(コントラスト感度)では単焦点レンズに劣ります。