白内障の原因
タンパク質の変質により起こる病気
白内障の原因は水晶体が濁ってしまうことです。本来、透明な水晶体が濁ってしまうのは、水晶体の細胞内に含まれているタンパク質が、主に加齢が原因で酸化し、徐々に白く濁ってくるからです。水晶体が濁ってくると眼に入ってくる光を邪魔するので、網膜までしっかりと光が届かなくなったり、反射してまぶしさを感じるようになります。
水晶体を濁らせる酸化ストレス
酸化によって鉄などが錆びるように、生物の器官や細胞も酸化します。こうした酸化ストレスは、さまざまな外的要因により起こります。白内障では、加齢や紫外線、放射線、熱、衝撃、薬や他の病気による影響があります。
酸化のイメージとしては、卵の白身が加熱で白く変質したり、かき混ぜると白く濁るのと同じような状態です。
タンパク質の代謝
ヒトの体にはタンパク質の分解酵素があり、通常であれば古くなったタンパク質や異常なタンパク質をこの分解酵素が分解して新しいタンパク質を作ります。代謝が盛んな状態であれば、細胞は若々しく保たれます。ところが、加齢によって代謝がうまく働かなくなると老化の症状が現れてきます。また、病気などの要因で代謝がうまく働かなくなったり、分解酵素にも分解できない大きなタンパク質の塊ができることもあります。タンパク質異常による代表的な病気には、白内障、糖尿病、脳の病気であるアルツハイマー病や、クロイツフェルト・ヤコブ病、牛海綿状脳症(BSE)などがあります。
白内障の種類
先天性と後天性の白内障があります。
先天性白内障
先天性白内障は、生まれたときから何らかの原因で水晶体が白く濁っている状態です。進行性ではないため、視力(日常生活)に影響がない場合は、治療の必要はありません。濁りが強く、視力の発達に影響がある場合は、手術を行う必要があります。
後天性白内障
後天性白内障には、加齢性白内障、併発白内障(糖尿病白内障、アトピー白内障、ぶどう膜炎、網膜色素変性症など)、ステロイド白内障、外傷性白内障(強い衝撃・眼に物が刺さる)、などにわけられます。また、水晶体の濁り方にも違いがあります。
白内障の進行について
皮質白内障
加齢性白内障に多い皮質白内障は、水晶体の周囲から(皮質部分)から濁ってきます。加齢性白内障は、徐々に進行していくので、初期段階では自覚症状はほとんどなく、進行して、濁りが中央にかかってくると、目がかすんだり、まぶしく感じるなどの症状があります。この段階から治療が必要となります。
核白内障
皮質白内障の次に多いのが、核白内障です。水晶体の中央から徐々に濁ってきて、進行してくると、視力が低下して、水晶体の核が硬くなってきます。
後嚢下白内障
併発白内障やステロイド白内障によく見られるのが、後嚢下白内障です。水晶体の後嚢の皮質から濁り始める白内障です。
混合白内障
高齢になると、核白内障と後嚢白内障が組み合わさった混合白内障があります。混合白内障は、進行が早く、手術が早まる可能性が高くなります。
白内障は、放置して悪化すると、水晶体を包む嚢が破けて中身が流出したり、水晶体が膨張して緑内障を併発する可能性があります。
白内障の予防と進行抑制
白内障の予防策
ほとんどの白内障は、加齢による酸化ストレスが原因で起こっています。日常生活で白内障を予防するには、
- 禁煙する
- 紫外線を避ける
- 睡眠を十分にとる
- 過剰なアルコール接種
- 脱水などを避けて、程度な運動やバランスの取れた食事を取る
などが報告されております。
予防や進行抑制は眼科専門医で
白内障は薬で治すことができませんが、進行の抑制や予防はある程度可能です。日常生活にほとんどしようがない程度の白内障であれば、眼科専門医による経過観察と点眼治療や内服治療を受けることで進行を遅らせることができます。こうした薬剤は市販されていないため、医師の処方が必要になります。
海外から個人輸入されている薬の中には「白内障を治す」ふれこみで売られているものもありますが、厚生労働省の許可を得ていないものですから、効果が定かではないだけでなく、病気を悪化させる危険性もあります。