白内障手術とは
白内障を治療して視力を回復するためには、手術以外の方法はありません。白内障により日常生活に支障が出てきたら、手術で視力を回復させることが必要になります。放置しておくと、症状が悪化したり、水晶体が硬くなって手術の難易度が上がってしまう場合もあります。手術時期は主治医にご相談ください。
日本において、白内障手術は年間140万症例以上が行われている手術です。当院では、白内障手術の手法はさらに安全に受けていただけるように体制を整えております。できるだけ患者さんに負担が少ない手術方法を採用し、日帰り手術でも受けられるようになっています。
点眼麻酔を使いますので、痛みはほとんどありません。手術時間も約5分~10分で、傷口の小さい(低侵襲)な手術で実施しております。
手術の手順
①創口作成
角膜(黒目)と結膜・強角膜(白目)の境目付近に、細いメスでとても小さい創口(1.8mm~2.4mm)を作ります。
②前嚢切開
水晶体嚢(水晶体を覆っている袋)の前面を剥がします。
③水晶体乳化吸引
水晶体嚢を剥がした部分に超音波を出す棒状の器具を入れ、水晶体を細かく砕きます。砕かれた水晶体の吸引も同時に行っていきます。
④眼内レンズ挿入
細かく砕かれた水晶体がなくなりきれいになった水晶体嚢に、小さく折り畳まれた人工の眼内レンズを挿入して広げます。
手術費用について
通常の白内障手術は健康保険適用になっています。患者さんの目の状態により適応が違いますので、
多焦点眼内レンズ
当院は多焦点眼内レンズを多数そろえておりますので、患者さんに最適な多焦点眼内レンズご提案いたします。
当院の白内障手術の10の特徴
当院の白内障手術は、『人生に一度』をコンセプトにしており、加齢に伴い誰もが発症し、手術治療が必要になる白内障手術を『人生に一度のイベント』として考え、患者さんに最適な手術を受けていただけるように体制を整えております。
1.術後の見え方について患者さんと真剣に相談します。
白内障手術は一生に一回だけです。一生に一回だけなので、絶対に失敗したくないと思うのは誰でも同じです。
現在の白内障手術は機械の進歩もあり、手術そのものは安全になりました。
そのため白内障手術が成功するか失敗するかは、突き詰めれば「どれだけ自分に合った眼内レンズを選ぶか」ということになると思います。
現在の眼内レンズは万能ではありません。
どの眼内レンズを入れても、若いころのクリアな見え方で、どこでもピントが合う調節力は戻ってきません。
クリアな見え方を追求すれば単焦点レンズになりますが、一定の距離にしかピントは合いません。多焦点レンズを使えば、たいていの距離でメガネはいらなくなりますが、くっきり感では劣ります。
このように、どの眼内レンズにも一長一短があります。
ご友人が手術をしてよく見えるようになったから、同じようにしてほしいとおっしゃる患者さまがいらっしゃいますが、ひとそれぞれ価値観が違うように、見え方に期待する内容も十人十色です。
十人十色の患者さまに最も適したレンズを選ぶ作業、当院ではこれが一番大事なことだと考えています。
例えば手芸を趣味とされている患者さんは、近くがクリアに見えることが大事ですし、ゴルフを趣味とされている患者さんは遠くが見えることが大事です。クリアでなくても眼鏡のいらない生活を快適と思われる患者さんもいれば、遠くがクリアに見えるならあとは老眼鏡を掛ければ良いと思われる患者さんもいらっしゃいます。
もっとも大事にしているのは患者さまの期待に応えられるかどうかです。検査の結果、残念ながら患者さんのご期待に応えることが難しいと判断されるときには手術は行いません。そのうちに技術革新がおこり、患者さんの期待に応えられるようなレンズが開発される可能性があるからです。
手術したあと、どんな見え方になるか、それは結局誰にもわかりません。やってみないとわからない、でもそれで一生がきまりますので、真剣に悩みます。
手術をした患者さまは全員が笑顔になって帰ってほしい。そのために眼科医としての経験と責任をもって、一生懸命患者さまと相談し、考えます。そして手術をしたあと、期待通り見えるようになり、喜んでくれる患者さまの笑顔をみて、やっとこれでよかったんだと一息つくことができます。
2.『眼内レンズの選択』へのこだわり
白内障手術後の見え方で重要となる眼内レンズを選ぶ際、患者さんの日常生活についてしっかりとお聞きし、最適な眼内レンズを患者さんと相談し決定いたします。手術後、眼鏡・コンタクトが不要な多焦点眼内レンズもご用意しております。
3.『乱視矯正』へのこだわり
高次収差計(KR-1W)、VERION、センチュリオンを使ってできるだけ乱視矯正に取り組む体制を構築しております。
当院では、白内障手術は乱視矯正の大きなチャンスと捉えております。
4.『難易度の高い手術』の実施
白内障手術では、ごく稀に水晶体を包んでいる袋が破けて眼の奥へ水晶体核が落ちてしまったり(水晶体核落下)、水晶体を支えているチン小帯がもともと弱く新しいレンズ支えられない場合(水晶体脱臼)などが起こる場合があります。この場合、通常の白内障手術だけではなく、硝子体手術が必要になる場合がありますが、当院ではそのような場合でも手術対応が可能です。
5.『傷口の小さい手術』へのこだわり
白内障手術を実施する際、角膜を切開しますが、その切開創が術後の乱視を引き起こします。当院では、手術の切開の影響も考慮して専門の機器(VERION)で手術プランを作成し、角膜切開創・角膜内皮細胞数などによって2つの手術機器を使い分けて手術を実施しております。
センチュリオン(右の機器)
白内障手術の切開創を最も小さく実施できる手術機器です。白内障手術を実施する患者さんに乱視がなく、手術後も乱視の影響を極力受けないように最も小さい切開創(1.8mm)で手術を行うことができます。これまでより小さな傷から白内障手術を行うためにはたくさんの技術の進歩が必要です。小さい傷から手術するからといって手術時間が大幅にのびてはあまり意味がありません。そのため、この機械では従来より高速に核を乳化させるシステムが採用されました。
次に、乳化した核を小さい傷から高速に吸い出す必要があります。核を吸い出したあとの眼は還流液に満たされます。従来はこの還流液の補充は重力による自然落下でしたが、補充が間に合わずに危ないことがありました。
そこで、この機械では還流液に高い圧力をかけて、より高速に眼内に補充します。その結果、高速の吸引を安全に施行することが可能になりました。
最後に、眼内レンズを折りたたんで眼内に挿入するのですが、これも小さな傷から挿入しないといけません。従来ではここまでは小さい傷でできていても、眼内レンズが小さな傷からは挿入することが困難であったために、せっかくの小切開創をレンズを入れるために広げる必要がありました。この機械では、機械の力をかりてレンズを挿入するシステムにより、従来では挿入困難であったより小さな傷からレンズを挿入することが可能になりました。
【吸引圧設定比較】
【吸引時間短縮】
【極小切開でIOL挿入】
シグネチャー(左の機器)
手術内容によってセンチュリオンと使い分けております。事前検査で角膜内皮細胞が少ない場合、シグネチャーを使用する方が角膜内皮細胞への侵襲が少なく手術が行えます。
6.豊富な多焦点眼内レンズの種類
当院では、テクニスマルチフォーカル、テクニスシンフォニー、レストア、クラレオンパンオプティクス、ファインビジョン、レンティス、ミニウェルレディ、Add-on眼内レンズなど多数のレンズをご用意しております。正確な検査を実施し、患者さんの日常生活をお聞きし、最適な眼内レンズをご提案いたします。
7.『安全な手術』へのこだわり
白内障手術は、局所麻酔を使って行われます。当院では、万が一に備えすべての白内障手術に麻酔科医が待機し、安全な手術が実施できる体制で行っています。
8.『感染症対策』へのこだわり
手術を行うに当たり、徹底した感染対策を行っております。
- クリーンルームエアコンの導入(手術室専用)
- 手術機器の滅菌(ヨーロッパ世界水準クラスB)
万が一感染が起こった際は、即座に手術室で硝子体手術を行う用意を整えるなど、最善を尽くす用意をしています
9.『不安のない手術』へのこだわり
当院では、問診、検査、診察、治療の説明、手術内容、手術後検査、手術後の注意点を看護士が患者さんに付き添い、わかりやすく説明するようにしております。医師の説明を受ける際も一緒に看護師が話を聞いているので、分からないことがあれば気軽に質問していただけます。
10.『負担の少ない日帰り手術』
白内障の手術は、日帰り手術で実施しております。日帰り手術のメリットとしては、①入院手続きのわずらわしさがなく、②早期社会復帰(体への負担が少ない手術方法で実施)、③入院費用の削減等、精神的・身体的・経済的に患者さんのご負担の少ない方法となります。